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TKI
竣工:2023年
用途:住宅
建設地:新潟市南区
構造:木造 リノベーション
設計・監理:塚野建築設計事務所
施工:アイエス建匠
写真:塚野建築設計事務所
「物理的心のよりどころの回復」
築58年の木造住宅のリノベーションです。
60坪の建物のうち11坪の居間・食堂部分のみスケルトンにして改修しました。
既存建物は新潟の農村部によくある間取りで、この家とほとんど同じ間取りの調査をするのが3回目だと途中で気づきました。
劣化が激しく、調査の段階では、コスト的に根本的改修は難しいと判断しましたが、新潟の設計事務所としてこの間取りをアップデートする責任があると思い引き受けることにした仕事です。
もともと、家族の精神的にも物理的にも心のよりどころとなっていたこの家が、精神的心のよりどころとしての機能は果たすけど、
老朽化や無理な増築により物理的な心のよりどころとしては機能を果たせなくなっていて、それを何とか解決したいと思いました。
具体的には家族構成が変わり居住する家族の人数が減った今、建物全体を改修する必要が無いと思われるので、家全体ではなく、
家族が1番長く時間を過ごす居間と台所を部分的にスケルトンにし、構造的、温熱環境的性能をアップさせて新たに物理的な心のよりどころになるように、コストと機能と意匠のバランスをとりながら改修しました。(地震や台風のときにシェルターのようにも機能してくれることを期待している)
リノベーションではよくある手法で、わざわざ言及する必要はないと思いますが、今回も既存建具のレトロなガラスをレスキューして新たな建具に組み込んだり、既存建具を調整し再塗装して蘇らせ、家族の記憶を残す手法を取りました。
また、仮住まいの費用を抑えるために住みながら工事ができるように、既存キッチンを切り離し仮設のキッチンをつくりました。
今は撤去してしまいましたが、この仮設のキッチンが今までの私の設計史上1番素敵なキッチンになりました。
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